Still for your love

果てしなく暗いので、たたみます。


実家にいたプードルのりょーさんが、こことは違う世界に行ってしまってから、2ヶ月経ちました。
この2ヶ月は、あっという間のような気もするし、まだそれしか経ってないのか、という気もします。

弟から訃報を聞いた翌日、埋葬するために実家に向かったのですが、自宅から実家まではスムーズに行けば1時間弱で到着するというのに、わたしは4時間かかってしまいました。
お花を買って行こうとか、りょーさんが好きだったおやつを買おうとか、色々寄り道はしたのですけど、ほとんどの時間はただフラフラ歩いていただけでした。
出来るだけ時間をひきのばしたかったのです。
そんなことをしても、無意味なのはよくわかっていたのですが。

実家に着いて居間へ行くと、愛用のベッドに寝かされたりょーさんがいました。
触れると、ふわふわの毛は変わらないのに、まるで冷凍庫に手を入れたみたいにひんやりしていて、りょーさんのベッドの中が部屋の温度より確実に低いことに驚き、ああ、ほんとうに、と思いました。
柔らかかった体はかちかちで、もう絶対に、起き上がって尻尾を振ってはくれないのだと、顔を嘗めてはくれないのだと、きらきらした目でわたしを見上げてはくれないのだと、もうそういうことは絶対にないのだとはっきりわかりましたが、わたしが触るのもりょーさんが触られるのも大好きだった肉球は変わらずぷにぷにとしていて、ここはまだこんなにぷにぷになのになあ、と不思議なきもちになりました。

りょーさんは、家人が誰も帰宅していない、暗くて寒い部屋の中で、たった一人で旅に出てしまいました。
そのことがほんとうに悔やまれます。
みんな働いているし、わたしは家を出ているのでどうしようもなかったですが、もしも2ヶ月前に戻れるのなら、その瞬間まで膝の上で抱いていてあげたい。
そんなことは叶わないと、わかっているけれど。

16年、りょーさんは幸せだったかなあ。
りょーさんがくれた以上の愛を、わたしはあげられたんだろうか。